【フォーカス】全日空(下)
4月に仙台と東京で開かれた旅行業界の世界的大会「第12回世界旅行ツーリズム協議会グローバルサミット」。航空業界がテーマに取り上げられた講演会で、パネル討論者として登壇した全日本空輸の伊東信一郎社長は「太平洋を越えてアジアに行く需要は旺盛。低燃費の航空機への入れ替えも順調に進めている」と述べ、次の一手に自信を示した。
全日空は2013年度までのグループ経営戦略で、13年度に国際線の輸送量を11年度比22%増とする目標を掲げる。この成長を実現するためのキーワードとなるのが、「際際需要」と「ボーイング787」だ。
国際航空運送協会(IATA)によると、アジア太平洋域内の国際線旅客数は09年の1億6000万人から、20年には3億4000万人に倍増する見込み。20年の旅客見通しは欧州が8000万人、北米が7000万人で、アジアの航空需要は突出している。北米とアジアとの中間に位置する地理的優位性もあり、全日空は成田空港が両地域を接続するハブ(中核)空港の役割を果たせるとみる。
このため、北米から日本経由でアジア各国に向かう旅客が国際線と国際線を乗り継ぐ「際際」ニーズに着目し、成田を午後に出発する便を増やす。