日本の空をめぐり日本航空と全日本空輸の「代理戦争」が激化しそうだ。日本航空が出資する格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンが3日、国内線で初就航。日本航空系と全日空系のLCC同士の値下げ競争が過熱してきた。
当初は全路線1円
「他社には価格で負けないという自信がある」。3日、成田空港で行われた就航式典で、ジェットスターの鈴木みゆき社長はこう言い切った。
ジェットスターは通常運賃を大手航空会社の15~50%程度に設定し、「全路線1円」のキャンペーン割引を実施。運賃が他社より高い場合は値引きする最低価格保証など、一部の家電量販チェーンなどが実施するような「安さ第一」の戦略が同社の最大の武器だ。
LCCの国内線就航は、関西空港を拠点にする全日空系のピーチ・アビエーションに次いで2社目。全日空系のもう一つのLCC、エアアジア・ジャパンも成田空港を拠点に8月から国内線に参入する予定で、日航系と全日空系の価格競争はすでに本格化している。ジェットスターは、エアアジアの運賃発表の直後に成田-新千歳など競合路線の最安運賃を100~500円引き下げた。ピーチも、関西-福岡線の最安運賃をジェットスターと同額に下げている。
ジェットスターが強気の価格戦略を打ち出せるのは、筆頭株主の日航が「フルサービスの大手がLCCの経営に関与すべきではない」との方針を取るからだ。航空業界と無縁のIT企業経営者だった鈴木氏を社長に登用するなど、豪LCC大手のジェットスターグループが主導権を握り、日航に気兼ねすることなく格安路線を徹底する。