大林組以外の日系ゼネコンも状況は似たり寄ったりだ。大成建設や鹿島は、40階以下の大型ビルまで建設できる「1級」の資格を取得したが、中国に進出する日系企業からの受注が主体で、受注額は年100億円程度にとどまる。
海外建設協会によると、日本のゼネコンの中国での受注額は21年度実績で493億円しかなく、海外受注全体に占める割合は7%に過ぎない。
「大林組に続き、撤退の動きが出てもおかしくない」(業界関係者)
業界では、追随を予測する声が絶えない。
問われるリスク管理
「北米やオセアニア、東南アジアに軸足を置く。縮小均衡の国内の仕事だけでは将来的に社員の雇用を維持できない」
大林組の白石社長は、中国撤退後も海外事業を強化していく構えだ。
建設経済研究所の予測によると、22年度の国内建設投資は公共投資の激減などで、ピークの4年度の半分以下の40兆円を割り込む見込みだ。生産拠点の海外シフトによる国内投資の低迷や少子高齢化による住宅需要の減退で、民需も先細りが必至。