目算が外れた最大の理由は、依然として残る細かな外資への規制だ。
最大の障害が、ライセンス制度。すべての工事が請け負える「特級」から、ビルの階数で制限した1~3級までの4段階の区分が設けられている。
大規模ビルのほか、道路や鉄道などの大型案件を受注するには「特級」の取得が必要だが、外資には実質的に門戸が閉ざされ、大林組は、28階以下の中型ビルしか建設できない「2級」しか取得できなかった。
現地法人の資本金の最大5倍までしか受注できないという制限もあり、大型案件からは、ほとんど弾き出された。
さらに20年のリーマン・ショック後、中国政府は総額4兆元(約57兆円)に上る景気対策を発動したのに合わせ、「自国の建設業者に優先的に仕事を回すため、外資の締め出し傾向を一段と強めている」(業界関係者)という。
その結果、中国人が9割を占める現地法人のスタッフ150人の人件費すらまかなえず、実質的に赤字が続き、ついに店じまいを決断した。