2012.5.23 05:00
生産の「国内回帰」を探る主なメーカー【拡大】
欠かせぬ政策パッケージ実行
ただ、米国と比べて日本の製造業の「回帰」は業種が限定的で、力強さにも欠ける。エネルギーコスト低減やドル安、輸出振興策という米企業が得た好条件が日本企業にはないからだ。
かつて日本の電機各社は液晶パネルや半導体などの大型設備投資を進め、「製造業の国内回帰」と歓迎された。だが、今や多くのメーカーが販売不振や価格下落で巨額赤字に陥り、「過剰設備」が重荷になっている。
それでも、東レ経営研究所の福田佳之シニアエコノミストは「雇用創出には内需型産業の拡大より輸出振興が有効。消費意欲が旺盛な新興国の中間層をターゲットに、円高や労賃を価格転嫁できる強いブランド力を持った商品や輸出産業を育てるべきだ」と指摘する。
難局で踏ん張る日本メーカーを後押しするためにも、税制・規制改革や経済連携協定(EPA)の締結といった政策パッケージの実行が欠かせない。政府に求められているのは東日本大震災からの復興だけではない。(田端素央、ワシントン 柿内公輔)