下方修正の主因は、「主力の20~30代の顧客層開拓が飽和感もあって頭打ちとなった上、ファストファッションなど低価格衣料との競争が激化したため」(業界関係者)とされる。
流行ブランド集める
前沢氏は元ミュージシャンで高校卒業後、輸入レコード・CDの通販を始め、1998年にスタートトゥデイを設立、04年に「ゾゾタウン」を立ち上げた。起業の動機は「好きなことを人と違う方法でやりたい」と話す。試着できないことなどから「ネット通販は成功しない」とされてきた衣料品業界で、この常識を覆した。
サイトの特徴は、商品検索はブランド別やカテゴリー別、カラー、サイズ別などを選べ、返品も可能。サイズも自社で採寸し直すなど利用者目線を重視すること。会員になれば、一般販売前に人気ブランドを入手できる特典などもある。
飛躍の契機は、05年の大手アパレル、ユナイテッドアローズの出店で、以後ビームスなど人気の大手ブランドがこぞって進出したこと。同時に、個性的な中小ブランドを発掘、ゾゾでしか買えない商品もある。いわば流行に合った人気ブランドを集めた“セレクトショップのネット版”といえる。
原則として新品を定価販売してきたこともアパレルメーカーにとってメリットがあり、出店者の信頼を得た。いまや取り扱いはショップ数389、ブランド数1800を超え、13万点以上の商品が並ぶ。会員数は12年3月期で467万人と前期比50%増と、首都圏を中心に全国に拡大。中国、韓国にも進出した。
(次ページ)まだ成長の余地は大きい