ハイアールに“塩”
今年1月に三洋の白物家電事業を買収した中国の海爾集団(ハイアール)が15日に都内で開いた経営戦略説明会。杜鏡国副総裁は「三洋の技術とハイアールの調達力や情報収集力を融合し価値ある製品を提供する」と語り、相乗効果の発揮に自信をみせた。
同社は三洋から引き継いだ「AQUA(アクア)」ブランドの展開で日本での売上高を現在の約7倍の800億円に増やす計画をぶち上げた。
パナソニックは三洋買収後、重複事業の整理を進めてきた。白物家電の売却もその一環で、国内の340人を含む計3100人がハイアールに移る。東南アジアでは一定期間、ハイアールにSANYOブランドを使用することも認めた。
人員削減による合理化効果の一方で、白物家電で世界首位に立つ強力なライバルに、日本市場攻略のチャンスという“塩”を送ったことになる。
パナソニックは三洋の半導体やモーター、物流事業なども売却。グループの人員は昨年12月末段階で約34万8千人と、1年前に比べ約2万7千人減り、35万人以下に削減するとした目標を1年前倒しで達成した。
だが、「買収に伴う贅肉をそぎ落としただけで、業績の立て直しには一段のリストラが必要」(証券アナリスト)との指摘は少なくない。