引き抜きも日常茶飯事だ。ゲームソフトのスクウェア・エニックス・ホールディングスの有名開発者がグリーに移籍。業界では、「ゲーム専用機の衰退とSNSの隆盛を象徴する出来事」として話題になった。
ブログサービスを展開するある企業は最高技術責任者(CTO)をグリーに引き抜かれ、煮え湯を飲まされた。
「発表会など公の場に優秀な技術者を出すと引き抜かれることもあるので、表舞台には出せない」と、IT企業幹部は打ち明ける。
海外にも触手
人材争奪戦の背景には、あまりの急成長に人材確保が追いつかないという事情がある。ヘッドハンティング会社のサーチファーム・ジャパンによると、今年度のIT関連の求人数は、2年前に比べ9倍に伸びる見込みだという。
同社の篠原光太郎取締役は「各社とも人材が足りていない。スマホ関連企業は、従来のIT企業よりも賃金が4、5割多く、優秀な技術者には数千万円支払うケースも珍しくない」と話す。
(次ページ)国内では賄いきれず、海外にも触手