一方、全日空が矢継ぎ早に2社目のエアアジア・ジャパンを立ち上げたのは、関空拠点のピーチでは、「今後の主戦場」(伊東社長)と位置づける成田の発着枠拡大に乗り遅れる懸念があったためだ。
こちらは、合弁相手のエアアジアのブランドや機体、運航ノウハウを活用。既存LCCと組むことで、手っ取り早く旅客を取り込む戦略だ。
LCC2社と本体との顧客奪い合いの懸念にも、「競争激化は覚悟の上だ」と、開き直る。国内の旅客需要は頭打ちのじり貧。生き残りには、新規顧客の開拓が不可欠で、“二兎”を追わざるを得ない。
ただ、食事どころか水も有料で、客室乗務員が売り子に変身するなど、ローコストを徹底する海外勢に対し、“付け焼き刃”ではとても太刀打ちできない。海外勢がすでにガッチリとつかんでいる、海外旅行が初めてという顧客層に食い込むのも容易ではない。
ANAに続こうとする日航の社内では、いまだにLCC参入に慎重な意見が根強いという。(中村智隆)