日本の空が格安航空会社(LCC)の大乱戦となってきた。東日本大震災や福島第1原発事故の影響で訪日旅客の落ち込みが懸念されるなか、ここにきて海外勢が相次いで就航。全日本空輸は8月中に2社目となるLCCを立ち上げ、日本航空も参入の検討を進めている。出遅れた国内勢は、ローコスト運営のノウハウに乏しいうえ、本体との旅客の奪い合いをどう防ぐなど課題は多く、返り討ちの懸念が拭えない。
ANA2社目の賭け
「新たな価値、旅のスタイルを作り出し、新規需要を創出する」
全日空の伊東信一郎社長は、7月21日に開かれた2社目のLCC「エアアジア・ジャパン」設立会見で、旅客獲得に自信を示した。 新会社は、マレーシアに拠点を置くアジア最大のLCC、エアアジアとの合弁。来年8月から成田空港を発着する国内線、国際線を運航する計画だ。運賃は大手の半額から3分の1程度を目指し、会見に同席したエアアジアのトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)は、「一番安い料金に設定したい」と力を込めた。
全日空は2月に香港の投資ファンドと関西国際空港を拠点とするLCCを設立。社名を桃をモチーフにした「ピーチ・アビエーション」に決め、来春の就航に向け準備を急いでいる。
経営再建途上で、これまでLCCに慎重だった日本航空も、オーストラリアのジェットスターとの合弁による参入を検討中だ。拠点は成田が最有力で、大手の半額程度の運賃で、来年にもまず国内線から就航させる方向。合意の時期について、「11月以降では遅い」(同社首脳)と、近く最終判断したい考えだ。
(次ページ)海外勢に背中を押され…