猛暑一転 夏商戦に異変 アイス減産、長雨で除湿器は好調
アイスなど、夏場向けの商品販売が苦戦を強いられている。猛暑だった7月は絶好調だったが、8月に入って東日本の太平洋側を中心に長雨が続き、気温も低く肌寒かったことから、一転してブレーキがかかっている。一方、天候不順が追い風となっている商品もあり、今年の夏商戦は例年とはやや違った様相を呈している。
「ここ数日は暑さが戻ってきているので、何とか8月の残り、9月と巻き返したいが…」
氷菓「ガリガリ君」などを製造・販売する赤城乳業(埼玉県深谷市)の販売担当者は、ため息混じりにそう話す。ガリガリ君の8月の販売は、前年に比べ1割強も減少。猛暑で1割程度増えた7月とは打って変わって不振に陥った。このため同社は、工場の一部生産ラインをストップするなど減産に取り組んでいる。
体を冷やしたり、汗を拭いたりするのに使うボディーシートも低調だ。最大手のマンダムによると、市場全体の販売額は7月に前年同月比で19.9%増だったのに対し、8月7日の週は逆に5.7%減。市場は年々拡大しているが、今年は4~6月も天候不順で6.3%減と苦戦、何とか7月の「貯金」でプラスを維持している状況だ。
エアコン販売も振るわない。もともとエアコン販売のピークは7月で、お盆を過ぎればあまり売れなくなる。とはいえ「今年は6月も(天候不順で)悪かっただけに、8月前半の追い込みの時期に売れなかったのは痛い」(都内の家電量販店の売り場担当者)という。
一方、同じ家電でも除湿器と布団乾燥機の販売は例年になく好調だ。家電量販大手のビックカメラでは、8月の売り上げがそれぞれ前年の3割増、2割増で推移。新宿西口店(東京都新宿区)で家電コーナーを担当する大石剛史主任は「長雨が続くなか、洗濯物を部屋干しする際に使われている」と話す。このほかアパレル大手の三陽商会は、84グラムと超軽量の折りたたみ傘「バーブレラ」の8月1~20日の販売本数が、前年より8割増えた。(井田通人)
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