家庭用ロボ、19年発売目指す トヨタF1やペッパー開発に従事した林社長

トップは語る

 ■「GROOVE X」社長・林要さん(43)

 --トヨタ自動車で「F1」車の開発や量産車開発のマネジメントに従事していたが、ソフトバンクではヒト型ロボ「ペッパー」の開発リーダーを務めた

 「バブル崩壊、失われた20年など日本を取り巻く経済環境が厳しい頃だったが、F1カーの開発でドイツにいたとき、多くの人は気付いていないが、日本は世界的にみても非常に個性的な人種で、それが世界と戦う上で武器になると気付いた。数多くの要素技術を組み合わせて作り込むロボットなら、日本人の特性が生かせると考えた」

 --会社名「GROOVE X」に込めた思いは

 「ロボット開発にはセンサーやモーター、幅広いソフト群など、数多くの技術を集めてつくられる。モノづくりの現場では携わる人たちの個性がお互いに刺激し合うことで、自分の能力以上のものが発揮されることも多い。モノづくりの現場で働く人の一体感を示す言葉として『GROOVE』と可能性を示す『X』の2つの単語が浮かんだ」

 --具体的にはどんなロボットを開発しているのか

 「現時点ではまだ開発の途中なので詳しく話せないが、大きさで言えば、ソニーの犬型ロボ『アイボ』より大きく、ペッパーより小さいといったところ。人の無意識に訴えかけ、一緒にいると安心する存在、それは最終的には人のパフォーマンスの向上に貢献できるものになると思う」

 --そんな新世代の家庭用ロボットはいつ登場することになるのか

 「2018年の発表に向けて準備を進めている。19年には発売の予定だ。開発費は数十億円の見込み。発売まで売り上げは見込めないが、昨年、総額14億円超の大規模な資金調達を実施しており、開発資金にあてている」

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【プロフィル】林要

 はやし・かなめ 東京都立科学技術大学(現首都大学東京)卒。1998年トヨタ自動車入社、F1の空力開発に従事。2012年ソフトバンクに入社し、ヒト型ロボット「ペッパー」の開発リーダー。15年11月GROOVE Xを創業し社長。愛知県出身。