体感する施設が続々 ナムコが屋内アスレチック 東京ドームはアートとカルチャーの発信基地

 
ナムコの新施設「TONDEMI」に置かれたトランポリン

 リアルでライブ感のある体験の提供が、エンターテインメントの大きな流れになって来た。バンダイナムコグループで施設運営を手掛けるナムコ(東京都港区)が、千葉市美浜区にあるイオンモール幕張新都心に4月21日オープンした「TONDEMI(トンデミ)は、トランポリンやクライミングウォールを備えた屋内型アスレチック施設。子供と親がいっしょになってトランポリンではね、壁をのぼり、ロープを伝って高所を歩く運動を体験できる。東京ドーム(東京都文京区)は、野球場や遊園地のある敷地内にアートとカルチャーを体感できるギャラリーを新設。スポーツ観戦やアトラクションのファンとは違った新たな客層を引き寄せる。

 フードコートから見える底上げされた空間で子供たちがはねている。ブロック状に仕切られる形で何枚ものトランポリンが敷かれていて、その上を前後左右に行き来して楽しんでいる。横に目を向けると、長方形のフィールドがトランポリンで仕切られたスペースがあって、インストラクターがジャンプしながら手にしたボールをぶつけ合っている。トランポリン上でプレーするドッジボールといったところだ。

 2013年12月のイオンモール幕張新都心オープンに合わせて設置した「東映ヒーローワールド」の営業が1月で期間満了となり、ナムコが空いたスペースで新たに営業を始めたのが「TONDEMI」という次世代型屋内アスレチック施設。「新奇性のある遊びを集めた“体汗”エンターテインメントセンター」というテーマどおりに、体を動かして汗をかくようなアクティビティがいくつも用意されている。トランポリンエリアもそのひとつ。何枚ものトランポリンがブロック状に配置されたフリーゾーンでは、自由にジャンプを楽しめる。

 ジャンプしながらボールを投げて遊ぶドッジゾーン、手にしたボールをバスケットボールのゴールにジャンプしながら叩き込むダンクゾーンなども設置。ゲームのバンダイナムコグループらしく、プレーヤーが飛んだ高さをセンサーで検知し、その分だけ前面のスクリーンに映し出したキャラクターを前へと進めていく「スペースホッパーズ」も初導入した。ジャンプとゲームを同時に楽しめるアクティビティとして話題になりそうだ。

 トランポリンだけではない。「TONDEMI」には壁に突き出た突起に指やつま先をかけて上っていくウォールクライミングのコーナーも設置。世界的に知られたブルガリアのウォールトピア社が開発した「FUNWALLS」が多数並んでおり、難易度や好みに合わせてクライミングを楽しめる。ロープウォークエリアもあって、こちらもウォールトピア社製の「ROPETOPIA」を屋内の施設としては日本で初導入。3メートルの高さに張り巡らされた橋や網、タイヤなどを渡ってスリルを味わい、体力やバランス感覚を養う。

 子供が簡単なフリークライミングや砂場遊びを楽しめる器具を置いたアミューズメント施設はすでにあるが、「TONDEMI」は子供向けではない。利用条件は身長110センチ以上で、体重は20キロから120キロ。小学1年生くらいからの子供と親がいっしょに体験しながら、子供にトランポリンのはね方を教えたり、逆に子供から壁のぼり方を教わったりするようなコミュニケーションを行える。

 トランポリンやフリークライミングはオリンピックの種目にもなっており、近づく東京オリンピックに向けて体験したい人が大勢出てきそう。競技レベルのものとは違うが、トランポリンではねたり壁をのぼったりといった運動を体験できる施設として評判を呼びそうだ。

 トランポリンといえば、VR(仮想現実)と組み合わせたアトラクションも提案されている。VRベンチャーのハシラス(東京都千代田区)が開発した「DIETOON」で、プレーヤーはVRヘッドマウントディスプレーを装着し、トランポリンの上ではねることで仮想空間を進んでいき、そこかしこに転がっているボールにタッチして回る。最大4人でプレーして、誰が1番多くボールを消して得点できたかを競うため、プレーヤーは結構な量の運動を強いられる。アミューズメント施設にアトラクションとして置かれることになりそうだ。

 スポーツ観戦と大型アトラクションの東京ドームシティに、アートやカルチャーの発信基地として新登場したのがギャラリー アーモだ。「東京ドームシティらしい楽しさと、ライブ感に満ちた、大人のための新しいギャラリー」をコンセプトに企画された施設。オープニングイベントとして、メディアアーティストでプログラマーの真鍋大度さんと、演出振付家のMIKIKOさんが手掛けたダンス・インスタレーションが上演された。プロジェクションマッピングやセンサーの技術を使い、ダンサーの踊りに合わせて映像や光を追随させて、肉体の動きと光による不思議な舞台を作り出した。

 東京ドームの長岡勤社長は、「東京ドームシティに新しくアートとカルチャーの発信機能を与えるもの。これまで足を向けていただけなかったお客様に、新しい発見ができる場として楽しんでもらえれば」と話して、ギャラリー アーモが新規顧客層の開拓につながる施設になることに期待を示した。

 ギャラリー アーモでは4月25日からハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」展、9月16日から映画公開記念 鋼の錬金術師展など、アニメやゲームが好きな世代が気になるイベントを次々に展開していく。一方では、東京駅のプロジェクションマッピングを仕掛けた映像制作集団のNAKED(東京都渋谷区)による映像を駆使したアート展も6月16日から開催して、ポップカルチャーやメディアアートといった分野のファンを東京ドームシティへと招き寄せる。