燃費データ不正厳罰化 罰金大幅引き上げ、懲役刑導入も
三菱自動車の燃費データ不正問題で、再発防止策を盛り込んだ道路運送車両法改正案の概要が10日、判明した。自動車の量産・販売に必要な「型式指定」を受けた後にデータ改竄(かいざん)などの不正が見つかった場合に指定を取り消せるようにするほか、国に虚偽報告したメーカーへの罰金を「2億円以下」に引き上げ、その行為者に「1年以内」の懲役刑を科すなど厳罰化する。政府が今月20日召集の通常国会で提案する。
この問題では、三菱自が軽自動車などの型式指定の申請時に燃費をよく見せるためにデータを改竄。スズキは法令と異なる方法でデータを測定していたことが昨年、相次いで発覚した。国土交通省は「不正行為を抑止し、自動車の信頼性を確保する必要がある」として、実務者らからなるタスクフォースを設置し再発防止策を検討。昨年9月に最終報告をまとめていた。
改正案は、意図的にデータを改竄するなどして型式指定を受けていた場合には指定の取り消し処分の対象とする。これによりメーカーは、指定が取り消された自動車の生産・販売ができなくなる。
また、国交省がメーカーに報告を求めたときや立ち入り検査時に嘘をつくなど不正を行った場合、メーカーの罰金を現行の「30万円以下」から「2億円以下」に引き上げる。さらに、その行為者に対する罰則は「30万円以下の罰金」だったが、罰金を「300万円以下」に引き上げた上で懲役刑(1年以内)を導入、罰金と懲役の両方を科すこともできるようにする。
国交省は昨年9月に、同法に基づく省令を改正し、データの虚偽申請などが発覚した場合に型式指定の効力を一時的に停止したり、30万円以下の罰金を科したりするなど厳格化した。しかし、三菱自が不正発覚後に実施した再測定でも不正を重ねていたことを重視。エコカー減税制度への影響も考慮し罰則をさらに強化する法改正を検討していた。
10日に開かれたタスクフォースでは罰則強化の方向性を確認。国交省は今後、改正法案の詰めの作業を進める。
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