米大統領にトランプ氏 日銀の追加緩和 高まる期待論

 

 米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことで、日銀の追加緩和期待が市場で高まっている。同氏の政策運営に対する不透明感から米国経済、世界経済の先行きに不確実性が増す恐れがあるからだ。英国の欧州連合(EU)離脱決定時と同様に、日銀は企業や家計の心理が冷え込む事態を防ぐために追加緩和に踏み切らざるを得ないとの見方が早くも浮上している。

 また、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策に批判的なトランプ氏の大統領就任で、利上げ継続に対する不確実性が高まった。仮に12月の利上げが見送られた上、リスク回避で世界的に長期金利低下が進んだ場合、日米の金利差は縮小。この結果円高を招くとの指摘もある。日銀は9月に導入した「量」から「金利」に転換した金融政策で10年国債利回りを0%程度に誘導しているが、円安効果を狙った一段の金利低下に踏み切る可能性もある。

 一方で、日銀の金融政策に限界論も浮上している。市場の一部では、「官邸などと意思疎通を図り、為替相場を安定させるのではないか」との見方も出ている。