世界EV普及台数100万台超え パリ協定発効でさらに加速も
国際エネルギー機関(IEA)によると、2015年末、世界各国の電気自動車(EV)普及台数は初めて100万台を超え、126万台に達した。前年比2倍近くの急増ぶりだ。
IEAの専門家は「各国政府が温室効果ガスの排出が少ない自動車の普及に野心的な目標を掲げたことや、価格が下がり、走行距離が延びたことで急速な普及が進んでいる」と分析した。温室効果ガスの大幅削減を目指したパリ協定の発効で、今後もこの傾向は続くとみられる。
IEAによると、プラグインハイブリッド車を含めたEVの台数が最も多いのは米国の約40万4000台。中国の約31万2000台が2位で、日本は約12万6000台で世界3位だった。
普及が急速に進んでいるのはノルウェーで、昨年売れた新車のうち23%がEVだった。ノルウェーでは政府がEVの普及に力を入れており、25%の付加価値税のほか関税や約120万円の自動車取得税も免税。高速道路料金も免除され、首都オスロなどには無料の充電設備が多数配置されている。
同様に税制優遇や充電設備の配置を国費で行ってきたオランダも昨年販売された車の10%がEVだった。
パリなどの交通渋滞が深刻なフランスは13年から購入時の補助金制度に加え、ディーゼル車からの乗り換えを促すための補助金制度を導入。パリ協定の採択を受け、補助金拡大や政府の支援による充電ステーションの設置などを検討している。環境・エネルギー・海洋省の担当者は「EV普及の支援を政府は未来への投資と位置づけている」と話す。
ドイツ政府も今年5月、10億ユーロを投じてEVの普及を図ることを打ち出した。政府の資金で国内各地の充電設備のネットワークを設置する一方で、自動車会社の協力を得て、EVの購入者には1台当たり4000ユーロの補助金を出す。プラグインハイブリッド車を含め20年に100万台の普及を目指す。
これを受け、BMWやフォルクスワーゲン(VW)などドイツの主要自動車メーカーは相次いでEVの大幅増産計画を打ち出した。
日本政府も地球温暖化対策として、30年までにEVなどの次世代自動車の新車販売に占める割合を5~7割にするとの目標を掲げており、充電設備も徐々に整い始めている。(共同)
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