日本メーカーが義足開発強化、JSRは3Dプリンター活用
日本メーカーが、義足の開発に相次ぎ乗り出している。化学大手のJSRは29日、ベンチャー企業のSHCデザイン(神奈川県茅ケ崎市)と、3Dプリンターで作れる安価な義足を開発したと発表した。ミズノやソニー系ベンチャーは、競技用の開発を進めている。一般用の義足は一定の需要が見込め、競技用は開発で得た技術を他の用途に展開できるなど、社会貢献以外のメリットが少なくない。一部メーカーは、9月7日に開幕するリオデジャネイロ・パラリンピックの出場選手を支援し、技術力をアピールする。
JSRがSHCデザインと開発した義足は、価格を一般的な製品よりも7~8割抑えた。JSRが開発した3Dプリンター用のプラスチックを活用。軽量で、空港の金属探知機に引っかからず、水にぬれても壊れない特徴がある。
両社は「2足目」の需要をにらみ、平成29年に国内で他社の製造支援を始める計画で、今後は全日本空輸が空港での実証実験などで協力する。フィリピンなど海外でのビジネスも視野に入れる。
ミズノは、福祉機器を開発・販売する今仙技術研究所(岐阜県各務原市)と10月から主要パーツの「板バネ」を販売。これとは別に義足用スパイクも開発しており、パラリンピックの陸上男子走り幅跳びに出場する山本篤選手に提供する。
ソニー系ベンチャーのサイボーグ(東京都渋谷区)も、板バネの素材に炭素繊維を使い、強度や走行性能を高めた義足を、ソニーコンピュータサイエンス研究所や東レと製品化。男子400メートルリレーの佐藤圭太選手に提供する。
競技用では、三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の地球快適化インスティテュート(東京都千代田区)も2020(平成32)年の東京大会に向け開発を進めている。
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