ソフトバンクとホンダ AIを搭載、“愛”ある車やジェット機を開発

 

 ソフトバンクとホンダは21日、感情を表現する車やジェット機の開発を目指し、人工知能(AI)の共同研究を開始すると発表した。ソフトバンクグループのヒト型ロボット「ペッパー」に搭載されているAIがホンダの車などに転用されることで、ドライバーにおすすめの観光スポットを教えてくれるという。利用者が頼りにする“相棒”のような存在にまで進化するか。(大坪玲央)

 「ホンダの車に『愛』が入ります」

 ソフトバンクグループのイベントで講演した同社の孫正義社長は今回の共同研究についてこう強調した。

 孫社長によると、ペッパーに搭載されているAIはうれしさ、悲しさ、怖さ、愛などの複雑な感情をコントロールする脳内ホルモンの機能を模倣することができるという。両社は今後、こうした“感情エンジン”の車などへの活用に向けて研究を進める。

 ホンダの松本宜之専務執行役員は「生活を共にできる存在を作りたい」とした上で、「二輪、四輪、ジェットまで含めた全ての製品に実装を目指す」と意気込んだ。話しかけると音楽をかけてくれたり、駐車位置や服装までアドバイスしてくれたりするなどの将来像を想定しているという。

 ホンダはまた、AIの研究開発拠点「ホンダイノベーションラボTokyo」を9月に東京・赤坂に開設することも発表した。

 孫社長はすべてのモノがインターネットでつながるIoTを今後の事業の中核に位置付けている。ホンダとの共同研究を皮切りに、AIに不可欠なIoTによる膨大なデータ収集・活用でも協業を進める可能性がある。

 ただ、孫社長も指摘したようにAIを搭載する自動車は、インターネットに常時接続しており、サイバーテロの危険にさらされるリスクもある。両社にはAI搭載の負の側面への対応も求められそうだ。