トヨタ株主総会 円高逆風も「成長へ一丸」 自動運転や環境技術の質問も

 
トヨタ自動車の株主総会会場に入る株主ら=15日午前、愛知県豊田市

 トヨタ自動車は15日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開いた。アベノミクスによる円安が好業績を牽引(けんいん)してきたが、年明けから円高が進行。経営に逆風が吹く局面に対し、豊田章男社長は「持続的成長に向け、グループ一丸となって取り組む」と述べた。

 2016年3月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が2兆8539億円と過去最高を更新した。ただ、17年3月期は前期比で約4割減と大幅な落ち込みを予想している。

 熊本地震やグループ会社の爆発事故の影響で、車両生産を一時的に停止したことも打撃となりそうだ。

 株主からは、自動運転や環境技術に関する質問が出た。トヨタは自動運転に活用する人工知能(AI)の研究開発を手がける会社を米国に設立しており、伊勢清貴専務役員が「目の見えない方が車で行きたい場所に行けるようにしたい」と展望を語った。

 トヨタは今年4月に組織を改正し、製品や開発分野を軸に事業を統括する新たな体制へ移行した。意思決定の迅速化を図り、一段の成長につなげる狙いがある。豊田社長は「失敗を恐れない企業風土をつくる」との考えを強調した。

 総会では、取締役計11人の選任や役員賞与の支給に関する議案が承認された。