三菱自、国内販売に壊滅的打撃 全車種で燃費机上計算 “不正体質”一掃は困難
燃費不正問題に揺れる三菱自動車で15日、また新たな不祥事が発覚した。平成3年以降に発売した全ての車種で、燃費データの机上計算などの不正を行っていたことが判明した。相次ぐ不正の発覚により、ただでさえ半減した三菱自の国内販売は、壊滅的な打撃を受けそうだ。
これまでに三菱自は、日産自動車向けを含む軽自動車4車種、合計62万5千台で、データ改竄(かいざん)による燃費の水増しを公表したほか、軽以外の5車種でもデータを机上計算したと発表している。
今回は、追加的な社内調査で、販売を終了した車種も含む燃費不正が発覚した。当初設定した目標に燃費が届かない一部の車種を、エコカー減税の対象とするために不正を行った疑いもある。
過去のリコール(回収・無償修理)隠しに加え、次々と発覚する燃費不正問題で、三菱自のブランドは地に落ちた。低迷する同社の国内販売は、さらに深刻な事態に陥るのが必至だ。
三菱自の5月の国内軽自動車販売台数は、前年同月比75・0%減の912台と急減した。足元でも、軽と普通車を合わせた同社の国内販売は「半減したまま」(益子修会長)だという。
三菱自の連結売上高に占める国内比率は、約2割にすぎない。しかし、国内販売の半減が続けば、国内事業は赤字に陥り、業績全体に影響を及ぼすのは確実だ。
三菱自は今回の燃費不正問題を受け、28年3月期連結決算を修正し、191億円の特別損失を計上した。燃費データを改竄していた軽4車種のガソリン代の差額と、エコカー減税に関する追加負担の肩代わり分を引き当てた。
だが今回の補償額には、下取り価格の下落で損失を被った所有者への対応費用や、取引先への補償などは含まれていない。今後、追加の補償額を検討し、29年3月期に損失として計上するが、販売の激減と補償費用拡大は、三菱自の経営に大きな重しとなる。
三菱自は日産自動車と資本業務提携し、再建を目指す。だが、企業風土にはびこる“不正体質”を一掃するのは容易ではない。(今井裕治)
関連記事