「功労者・鈴木会長の追い出し方が許せない」と株主怒る

セブン&アイ株主総会・詳報(3)
セブン&アイ・ホールディングス株主総会に出席するため、会場の本社に入る株主=26日午前、東京都千代田区(早坂洋祐撮影)

 《株主からはコンビニ事業を創出した鈴木敏文会長への感謝の言葉が相次いだ》

 男性株主 「取締役選任の件で質問する。福島から来たが、感謝だけ申し上げたい。父親が50年代半ばから(セブンイレブン店舗の)オーナーをして、母親と切り盛りしてきた。両親は4年前、大震災の翌年に亡くなり、事業は親戚が継いだ。先日、両親が書いたノートが見つかり、初期投資に必要な経費をまかなうための借金の返済や、売り上げをどう増やすかといったことが書いてあった」

 「コンビニ事業を創出した鈴木会長らも苦労と心労があったと推察する。田舎にとってはコンビニ店の存在そのものが社会貢献であると考える。便利さと快適さを追求する社員やオーナーに感謝する。鈴木会長にも感謝の言葉を述べたい」

 村田紀敏社長 「セブンイレブンのような会社は、常に親から子供に継いでいくことが企業精神としてある。議長として、ただいまの株主に感謝申し上げる。役員全員が責務の重さを感じている」

 《次の質問に立った株主は、退任する鈴木氏の執務室が東京都千代田区の本社から別の場所に移ることを非難した》

 男性株主 「希望と質問がある。総会に出席する役員にネームプレート付けてほしい。新聞でみる名前と顔を一致させたい。質問については、鈴木会長の魅力にひかれて株を買ってきた。その魅力ある会長の居場所が本社からなくなるのは残念。功労者の追い出し方が許せない」

 村田氏 「最初の希望については取締役会で検討する。会長の執務室については、会長と井阪氏、後藤氏の間で検討させてもらった。最終的に会長もこの近くにいると(社員や役員が)やりづらいのではないかと(の判断だった)。本社から近くにオフィスを開設して、いつでも役員や社員が質問・相談できる体制をつくる。マスコミの記事ではセンセーショナルに書かれているかもしれないが、決して書かれているような状況ではない」

 《別会場の男性株主からの質問に移った》

 男性株主 「第2号議案の取締役選任の件だが、先ほど(村田氏が)ノーサイドといったが、全員一致で無記名で精査されたほうがいいのではないか。結局はしこりが残る」

 村田氏 「無記名でのことだが、先ほども回答した通り。私どもの会社は創業者の伊藤雅俊名誉会長と鈴木会長が2人で築き上げてきた。全ての従業員がその精神で仕事をしてきた。いろんな議論はあるが、他の企業と違うのは、1つのベクトルで実行する。そのことが加盟店のオーナーの精神だ。世間の常識とは違うかもしれないが、みんな仲間だと思って進めているし、新しい役員もそう思っていると聞いている」

(続く)