三菱自・決算会見詳報(上) 相川社長「受注台数が半減」「これからの推定難しい」

 
三菱自動車 平成27年度(平成28年3月期)業績概況説明会見に臨む三菱自動車の相川哲郎社長=東京都港区の三菱自動車本社(伴龍二撮影)

 《27日、三菱自動車が東京・三田の本社で平成28年3月期決算の記者会見を開いた。会場となった会議室には会見の始まる約1時間前から多くの記者やカメラマンが詰めかけた。午後4時半過ぎ、相川哲郎社長ら説明者が入り、カメラのフラッシュが一斉にたかれる》

 相川社長「当社が国土交通省へ提出した燃費試験データについて不正な操作が行われていたことが判明しました。お客さまをはじめ関係する皆様に多大なるご迷惑をおかけしていること、心より深くおわび申し上げます」

 《相川社長と青砥修一常務、田畑豊常務が一斉に立ち上がり、深く頭を下げて謝罪。青砥常務が28年3月期決算について短く説明した後、質疑応答に入る》

 --問題発覚後1週間で本業にどんな影響がでているのか。今後、財務面での影響は

 相川社長「まだ正確に把握できていないが、(不正を公表した)20日の前と後で、1日あたりの受注台数でみると半減している。海外はまだ情報がきていない。これからはわれわれとしても推定するのは非常に難しい。不正で燃費にどのくらい影響があったか、試験で確認しているが、国交省に受理して頂けないと確定できない。お客さまへの補償のレベル、(エコカー減税が)どのくらいランクが下がるか、確定は先になるとおもう。数字をあげるのは難しい」

 田畑常務「(今期業績は)一体どのくらいの影響が最終的にあるのか見通せないと、予測が難しい。ひとついえるのは、3月末で自己資本比率は48%まで高まっている。この2、3年で財務健全性は大幅に強化されている。資金面は約4600億円の現預金がある。かつて有利子負債は多額のものがあったが、3月末で300億円以下なので、そういう意味で財務体質としては強いと思っている。どの程度の影響が出るかに応じて、必要な対応を考えていきたい」

 --軽自動車で協業する日産との今後の関係をどうするか。建設中のインドネシアの工場など投資の見直しはあるのか

 相川社長「日産とは(問題の)早期収束に向けて協議している。現時点でその先のことは話していない。インドネシアの新工場の立ち上げは現時点で計画通りすすめている」

 田畑常務「インドネシアはスケジュール通り工事をしており(進捗は)現在80%。プレス設備の設置も5月から始まる予定だ。来年4月に生産開始の予定に向けてすべてが順調に進んでいる」

 「他の投資計画でいうと、前期の設備投資は1千億円くらいだと思っていたが、約700億円だった。今期は同じくらいのレベル感を考えていた。車の会社として、成長投資はやるべきものはやらないといけない。(現時点で)何かプロジェクトで引っ込めることは考えていないが、全体の状況をみながら、ものによっては考える。是々非々の対応を考えている」

 --先ほど財務の健全性の話があったが、顧客などへの補償にいくら回せるのか。グループの三菱東京UFJ銀行に追加融資の要請は行っているのか

 相川社長「これからどれくらいかかるか、残念ながら全体感がつかめていない」

 田畑常務「現預金から補償金を払うことになるが、規模感はみえていない。金融機関には現状を説明して、必要な時は資金調達をお願いするとは伝えている。一般的に、運転資金は連結ベースで1カ月以上の月間売り上げが必要になる」