神鋼ノース、新幹線床材用パネル生産好調 年4億~5億円売り上げ見込む

 

 神戸製鋼所の完全子会社でアルミハニカムパネルなどを手掛ける神鋼ノース(茨城県かすみがうら市)が、新幹線向けの床材用パネルで、好調な生産を続けている。北陸新幹線や北海道新幹線の開業、さらに既存の新幹線の車体更新など、2017年度まで4億~5億円規模の売り上げが続く見通し。鋼板などに比べて軽量のパネルは、新幹線の高速化に必須。政府は北陸新幹線や北海道新幹線の延伸時期の前倒しも検討しており、一層の生産拡大も今後見込めそうだ。

 神鋼ノースが日本車輌や川崎重工、日立製作所などの鉄道車両メーカーに納入する床材は、アルミハニカムパネルと呼ばれ蜂の巣状に組み合わせたアルミハニカムコアを芯材とし、表面にアルミ板を接着したもの。厚さを増やせば曲げに対する強度が高まるが、芯材のハニカムコアの約97%が空気層で構成されるため、重さがアルミパネル板の約5分の1、鋼板の約10分の1と軽量になるのが特長だ。

 700系新幹線1編成16両当たりでは、鋼板を使用した場合の27トンに対し約9トンと、床材だけで3分の1の軽量化を実現することができるという。

 一般的な電車では、薄い鋼板でスペース効率やコスト面が優先されるが「新幹線だと速度を確保する必要がある」(中土居淳一生産本部長)ため、1993年ごろから採用が始まった。2013年分からは国内新幹線のシェア100%を達成している。

 コスト面では「単純な素材だけで比べれば、鋼板の100倍程度の値段」となる。だが軽さは組み立て時の作業効率の改善につながり、「重機や仮設の足場などを組む必要もない」(中土居部長)ため、人件費を含めたトータルコストでは1~2割高程度に収まるという。

 同社はこれまで累計12万平方メートル分の新幹線向けアルミハニカムパネル床材を手がけてきた。ここ数年は、整備新幹線開業に向けて生産が増え、13年度は北陸新幹線向けの生産などで過去最高の生産量を記録した。

 今年度は北海道新幹線向けの生産にも着手し、同社の遠山茂幸社長は「北陸新幹線の金沢より先への延伸、北海道新幹線の延伸、九州新幹線の長崎ルートにも期待がかかる」と指摘。年4億~5億円の安定した売上高を新幹線の床材関連で見込む。同社は、17年度までに売上高40億円超(14年度は33億円見込み)、経常利益5億円超(同2億円)を目指す方針だ。