奈良県五條市から和歌山県新宮市までの100キロ超を結ぶ鉄道として計画されながら、旧国鉄の経営悪化などで実現しなかった“幻”の「五新鉄道」跡を活用した路線バス専用道が9月末で閉鎖されることが、18日分かった。紀伊半島の山間部に残された鉄道跡を管理する五條市が、トンネルの老朽化を理由に廃止を決めたため。バスを運行する奈良交通は10月から並行する国道にルートを移すのを前に今月下旬、専用道のお別れツアーを企画。現行ルートがなくなることを惜しむファンらの参加申し込みが相次いでいるという。
五條市などによると、五新鉄道は旧国鉄による山間部の木材などの運搬を目的に、現在の五條市から新宮市まで紀伊半島を縦断するルートが戦前に計画された。戦中の物資不足による中断を経て昭和34年、五條市内の五条-城戸(じょうど)間で路盤11・7キロが完成したが、旧国鉄の経営悪化や自動車の普及などにより鉄道計画は断念された。