タイの首都バンコクで8月に開業した都市鉄道「パープルライン」の旅客数が想定を大幅に下回っている。開業後2週間の1日当たりの旅客数は当初予測の約6分の1に低迷した。高い運賃と利便性の欠如などが要因だ。計画が予定通り進んでいないといった問題点が指摘されるなか、開業から1カ月足らずで運賃引き下げを決めるなど、前途多難な出発となった。現地紙バンコク・ポストなどが報じた。
パープルラインは、バンコク北部タオプーンと北部ノンタブリ県バンヤイを結ぶ16駅、総延長23キロの高架鉄道だ。悪化するバンコクの交通渋滞の緩和に向け2009年に着工。事業費は日本の円借款で賄われ、JR東日本、丸紅、東芝の企業連合が車両製造や信号システム、メンテナンスなどを手掛ける。
タイ大量高速輸送公社(MRTA)は当初、同鉄道の1日当たりの旅客数を12万人と予測していた。しかし、開業後2週間の旅客数は同2万人にとどまった。
旅客数が伸びない要因として、割高な運賃が挙げられる。同鉄道は開業時初乗り運賃を14バーツ(約40円)、全区間の運賃を42バーツと設定した。