2016.7.27 06:32
政府は26日、来月2日に決定する経済対策で、小型無人機(ドローン)などの実験施設整備に、20億円規模を充てる方針を固めた。物流産業への活用などを視野に、中長距離での飛行安全性や必要なインフラ設備などを探る狙いで、先進国内では後塵を拝しているドローンの産業活用へ、てこ入れを図る。
福島県内で計画されているロボット向け研究開発拠点整備事業の一環。50ヘクタールの開発拠点の一区画に試験飛行用のゲージを設置するほか、中長距離飛行の実験用として開発拠点から13キロ離れた地点に着陸用のドローンポートを整備。遠距離でも操縦できるよう電波発信施設も完備する。
これまで日本国内におけるドローン活用は、操縦者が視認できる範囲内での農薬散布や測量などが中心だった。中長距離飛行の技術が確立されれば、成長戦略で掲げている「ドローンを使った荷物配送」の範囲を広域化できるほか、人が行けないような災害現場やインフラ点検におけるドローン活用につながる。
ドローンをめぐっては、人口密集地上空の飛行などで国土交通省の許可や承認が必要となる改正航空法が昨年12月から施行されており、一定の安全確保が図られた。一方で産業分野への活用は遅れており、民間調査では、現在まで開発された機種数は米国の20分の1未満にとどまる。2020年時点の業務用市場規模も、世界全体の8000億円に対し、日本は200億円程度と見込まれる。