日銀の追加の金融緩和をめぐり、市場と消費者にギャップが生じている。企業間の取引価格を示す国内企業物価指数は、円高による輸入物価の下落などから15カ月連続で前年を下回り、市場では追加緩和の期待が高まっている。一方、家計を対象にした調査では、「物価が上がると困る」とする回答が8割を超えており、追加緩和を歓迎していないとみられる。日銀は28、29日の金融政策決定会合で難しい決断を迫られそうだ。
日銀が12日発表した6月の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報)は、前年同月比4.2%下落の99.2。原油価格が低調に推移していることや、為替相場の円高ドル安傾向が響いた。品目では、石油・石炭製品が21.0%、非鉄金属が17.6%、化学製品が8.7%それぞれ下落。市場は、「円高で大幅な物価下落が続く公算が高い」(ニッセイ基礎研究所の岡圭佑氏)とみていることから、円高阻止につながる追加緩和を期待する声が高まっている。