【社説で経済を読む】
産経新聞客員論説委員・五十嵐徹
来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げが、再び見送られそうだ。安倍晋三首相は、2016年度予算の成立を受けた3月29日の記者会見で、「予定通り引き上げていく考えに変わりはない」と述べたが、「日本経済自体が危うくなるような道を取ってはいけない」と含みも持たせた。
メディアは、首相は7月の参院選に衆議院解散をぶつけて同日選とし、増税の再延期を争点とするのではないかとの見方を強めている。報道上は、観測の域をはるかに超え、いまや既定方針の様相だ。
首相の記者会見を受けた30日付の各紙社説は、改めて増税再延期の是非についても言及しているが、明確に再延期を支持したのは全国紙5紙では産経だけだった。
「やむなし」と産経
産経は「デフレ脱却の途上にあり、景気回復の実感には乏しい。環境が整っていない状態で、景気をさらに落ち込ませる政策はとるべきでない」との見方から、「再延期という選択はやむを得ないだろう」と述べた。