2016.3.17 05:00
政府は16日、停滞感の漂う景気をてこ入れするため、2016年度補正予算案を編成する方針を固めた。低迷する個人消費の底上げを図るとともに、待機児童解消に向け保育士の待遇改善策なども盛り込む考え。4月から検討に入り、中国など世界経済の減速を踏まえた緊急経済対策をまとめる。総額は15年度補正予算(3.3兆円)を上回る5兆円超になる見通しだ。
補正予算案の編成は、15年10~12月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長に転落し、最近の経済指標でも消費の不振が鮮明になっていることを受けて不可避と判断した。
同日にスタートした閣僚と有識者が世界経済の現状を分析する「国際金融経済分析会合」の議論も参考に具体的中身を詰める。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、安倍晋三首相が金融政策を補う機動的な財政政策の一環として表明する方向だ。
今年1月に成立した15年度補正予算は、3万円の臨時給付金を低所得の高齢者に配る消費刺激策を盛り込んだが、16年度補正予算案は子育て世代への支援に重点を置く予算になる見通し。首相が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向け保育所や介護施設の整備、人材確保策を盛り込むことを検討している。
足元では企業業績の勢いに陰りが見え、消費の低迷が日本経済の足を引っ張る実態が浮かび上がっており、5月に発表される今年1~3月期のGDP速報値は2期連続でマイナスになる可能性もささやかれている。
このため、首相の経済政策ブレーンの本田悦朗内閣官房参与はフジサンケイビジネスアイのインタビューで「最低5兆円規模の補正予算が必要」と主張している。今年夏の参院選を控え、与党内からは大幅な上積みを期待する声も上がりそうだ。