世界遺産・二条城前のホテル跡地という京都の「超一等地」の活用をめぐって、京都市の門川大作市長が、開発会社に対し「ホテルを誘致してほしい」と呼びかける異例の事態に発展している。円安を追い風にして、京都は外国人観光客が急増しているものの、宿泊施設が不足しているという事情が背景にある。土地利用の方法について開発会社側は明らかにはしていないが、「富裕層向けに需要が高まっているマンション開発をするのではないか」とする憶測もあり、関係者の注目が集まっている。(吉国在)
要望書に「ご英断を」
跡地は、二条城(京都市中京区)から堀川通を挟んで東側にある約7500平方メートル。昨年12月に閉館した京都国際ホテルがあった場所で、駅が近く、行楽シーズンには大勢の観光客が訪れる。平安時代には、貴族の邸宅である堀河院があり、江戸時代に福井藩邸も置かれていた。
市の幹部は「歴史があり、世界遺産の二条城が望める絶好のロケーション。市内でも数少ない超一等地」と話す。
京都国際ホテル跡地の土地と建物は売却され、阪急阪神ホールディングス(HD)傘下で、マンション開発大手の阪急不動産(大阪市)が取得した。
門川市長はこの情報に敏感に反応。要望書を阪急HDと阪急不動産に提出し、両社に宿泊施設の誘致を強く働きかけた。ホテル跡地にマンションが建つのではないか、という危機感があったのだ。