これに対し、メキシコ政府側は補償の裏付けとなる領収書などの提出を求めているようだ。今後のメキシコ側の出方次第では、補償協議がこじれ、2国間の外交問題に発展する可能性もないとはいえない。
一方、中国の鉄道車両大手の中国北車は2月11日、河北省にある工場を国内外の報道陣に公開。技術力の向上に取り組んでおり、今後も車両の海外輸出を増やす方針を強調した。
中国の強みは価格競争力で、海外勢に比べて建設コストが圧倒的に低い。その一方で、中国では2011年に、浙江省を走る高速鉄道で多数の死傷者が出る死亡事故が発生。中国の技術や安全性への懸念がぬぐえないとの指摘も多い中、安全性と技術力をアピールする狙いがあるとみられる。
中国はメキシコだけでなく、トルコでも高速鉄道事業に参画しているほか、ロシアやインドでも高速鉄道計画への協力を表明。インフラ輸出を通じて経済関係を拡大し、国際社会での存在感を高めようという思惑がみえるだけに、メキシコでのつまずきは痛手といえそうで、メンツをつぶされたいらだちもうかがえる。