【カイロ=大内清】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件で、イスラム国とシリア反体制派組織との間で日本人2人を含む人質・捕虜交換の交渉が行われたものの、反体制派がイスラム国に金銭の支払いを求めたことで、交渉が頓挫した可能性があることが21日、分かった。
拘束されているフリージャーナリスト、後藤健二さん(47)の足取りを知るシリア北部の武装組織「北部革命戦士団」のシリア人男性(38)が、産経新聞に明らかにした。
男性によると、後藤さんがシリア人ガイドの案内でイスラム国に向かった昨年10月下旬、この男性はイスラム国支配地域に隣接する町の検問所に詰めており、イスラム国側に入ろうとする後藤さんらの通過を危険性が高いとして拒否した。
しかし後藤さんらは、やはり北部を拠点とする別の反体制派組織「イスラム戦線」の幹部に電話で連絡を取り、口添えを依頼。この幹部が男性の上官に「イスラム国側にツテがあるため、戻れる保証がある」と伝えたことから、後藤さんらの検問所通過が認められた。後藤さんはその後、イスラム国に拘束されたとみられる。