ただ、強権発動する土地収用に必要な資金はわずかながら、付加価値を付け、「期限付き使用権」としてはるかに高値で譲渡する不動産ビジネスは“錬金術”ともいえる手口だ。高金利の借り入れでも十分に利益を上げられた。
だが、そうした歪(いびつ)なローカルルールの経済構造に、いよいよ限界が見え始めたと中国誌「中国経済週刊」は指摘している。同誌は今年に入って地方政府が相次ぎ初公表した債務状態を分析。地方政府が責任を負う債務の償還用財源に、土地譲渡の収入を当て込んでいる比率の高い地方政府を「土地財政依存症」と、名指しで強く警告を発した。
重症トップ3の地方政府は同比率66・3%の浙江省、中央直轄市で同64・6%の天津市、同57・1%の福建省。今後見込まれる土地譲渡収入で債務返済を保証した借り入れが、全体の債務の実に3分の2前後に達する。海南省(56・7%)や、重慶市(50・9%)、江西省(46・7%)に上海市(44・1%)、実態がはっきりしない北京市(50~60%)が続いた。いずれも不動産市況が上昇することを前提とした地方財政体質だ。