2014.4.14 22:05
政府税制調査会(首相の諮問機関)は14日、特定業界に限って法人税を優遇する「政策減税(租税特別措置)」を見直す方針を固めた。研究開発を促す減税措置の縮小のほか、特定企業に利用が偏る減税措置を廃止・縮小するのが柱。このほか、減価償却制度の見直しや欠損金の繰越控除制度の縮小などで課税対象範囲の拡大を急ぎ、安倍晋三首相が意欲を示す法人税の実効税率引き下げの代替財源の確保につなげる考えだ。
「(政策減税は)ゼロベースでの見直しが必要」
政府税調が14日開いた法人税改革を議論するグループの会合で、財務省が論点を示し、政策減税全体をゼロベースで見直す方向が確認された。政策減税は化学や医薬品などの製造業が研究開発減税で優遇される一方、サービス業の恩恵は小さく、業界間の偏りを是正するのが妥当と判断した。
財務省の試算によれば政策減税による法人税の減税分は約1兆円。見直しの柱となるのは、そのうちの4割程度を占める研究開発減税の改正だ。現在は投資を増やした企業を網羅的に減税するが、政府の成長戦略に合致した分野での投資に限って減税するなどの見直しを加え減税の対象企業を縮小する方向で検討する。
また政策減税には2~3年の期限が設けられており、終了後も業界要望で繰り返し延長、継続されているケースが後を絶たなかった。今後は、期限通り制度を終えるように仕組みを見直すことで、措置延長に伴う税収の目減りを防ぐ。グループの大田弘子座長(政策研究大学院大教授)は会合後の会見で「今回の議論で政策減税見直しのモノサシを明確にできた」と説明。これを基に個別の政策減税の見直しを進める。