5%から8%に引き上げられた消費税の増収分約5兆円は全額、社会保障の財源にする。だが、社会保障の充実に使えるのは1割にとどまる。大半は赤字の穴埋めなどに消え、施策の新たな充実に振り向ける余地は少ない。
5兆円のうち、2兆9500億円は基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げに充てる。国は平成21年度に基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げたが、その後も年2兆円超の財源不足が生じている。
消費税増税で安定財源を確保した意義は大きい。麻生太郎財務相は1日の会見で消費税増税について「社会保障制度の持続性を確保し、財政の信認を確保する上でも非常に意義深い」と強調した。
ただ、待機児童の解消など、社会保障の充実策に充てるのは5千億円程度にとどまる。27年10月に消費税が10%となれば、税収は14兆円増え、社会保障の充実に使える分も2・8兆円に増えるという。
だが消費税10%時でも、社会保障費の不足分は19兆円以上にのぼる。現役世代だけでは社会保障費をまかなえない状況だ。
消費税が3%から5%に引き上げられた9年度の社会保障給付費は69兆円だったが、25年度は111兆円に膨らんだ。団塊世代が75歳以上になる37年度には149兆円に膨らむ見通しで、社会保障費の抜本改革は急務だ。(小川真由美)