二国間貿易をみると、日本にとって真の「お客さん」が誰なのかは、さらに鮮明となる。対米黒字は付加価値で計算すれば総額より6割も増えるが、中韓向けはほとんどなくなってしまうのだ。簡単にいえば、日本は中国や韓国を経由して米国に商品を売っている-ということだ。
中国や韓国に日本が輸出する「中間財」が過小評価される一方、日本の中間財を使って中国や韓国が米国に輸出する「最終消費財」は過大評価されていた、従来の貿易統計。世界の経済勢力図もそれをベースに描かれてきたが、付加価値で見直せば大幅に変わってくる。
ただ、難点はこの統計が膨大なデータをもとにした推計値であり、現時点で09年のデータが最新と、速報性に欠ける点。OECD自身も付加価値貿易統計を「新しく補完的な見方を示すもの」としている。今後のさらなる分析や展開が期待される。(木村さやか)