安倍晋三首相が意欲を示す法人実効税率の引き下げの議論が政府税制調査会で本格的に始まった。国際的に高い水準にある法人実効税率の引き下げで国内企業の収益力を高め、外資系企業の誘致拡大につなげるのが狙い。ただ、税制改正の実権を握る自民党税調は減税した場合の財源への懸念から引き下げに慎重な姿勢を崩していない。法人税改革の具体的な時期や内容を巡り政府・与党内での駆け引きが激しくなりそうだ。
「わが国の法人実効税率は国際的に高く、改革は避けて通れない」。13日に開かれた政府税調総会に出席した内閣府の西村康稔副大臣は、法人税改革にこう強い意欲を示した。日本企業が国際競争にさらされる中、高い法人実効税率が競争条件をゆがめているとの危機感を強めているからだ。
法人税改革の旗振り役は安倍首相だ。スイスで1月に開かれたダボス会議では「さらなる法人税改革に着手する」と宣言。1月31日の衆院予算委員会でも「グローバル経済の競争を考えながら検討することが重要」とし、政府税調での検討を指示した。
政府税調は今後、専門の検討グループで税率を下げた場合の経済影響や、特定業界を優遇する租税特別措置の縮小など課税範囲の拡大も検討する。同グループの座長に就いた大田弘子・元経済財政担当相は、13日の総会で、「法人税をどう競争的なものにするかを考える必要がある」とし、改革に強い決意を示した。