2013.12.18 06:00
3Dプリンター【拡大】
3次元(3D)のデータを基に複雑な立体物を簡単に作製できる「3Dプリンター」が、ものづくりを変えようとしている。欧米では企業や個人の利用が一気に進んでおり、日本でも安倍晋三政権が、3Dプリンターの普及・拡大を、成長戦略の柱の一つと位置づけるなど推進への機運も高まる。製造業のあり方を一変する「魔法の箱」ともいわれる3Dプリンターの可能性を探る。
3週間を3日に短縮
「3週間かかっていた工程を3日に短縮できた」
自動車部品に使う鋳物の製造を手掛ける中小企業「コイワイ」(神奈川県小田原市)の小岩井豊己社長は、本社内に置かれた業務用の3Dプリンターを前に笑顔を見せる。
鋳物は、溶けた金属を砂で作った型枠(砂型)に流し込み固めて作る。砂型を作るには、鋳物の原型や中空部分を埋める中子(なかご)など、複数の部材を組み合わせる必要があったが、同社は砂を原材料に使う3Dプリンターで、自動車部品など複雑な形状の砂型を作製し、工期の短縮や機能向上を図った。従来3週間かかった試作工程が、3日程度に短縮できるケースもあったという。