2012年度補正予算の柱は、地方自治体向け交付金などを含め、5兆円規模となる公共事業費だ。しかし、建設業界の人手不足や建設資材の高騰の影響で入札参加者が足りずに落札者が決まらない「入札不調」が相次ぎ、着工が遅れている。「三本の矢」の一つである財政出動がうまく機能しなければ、「アベノミクス」の景気浮揚効果に対する懸念が高まる恐れもある。
首都圏のある自治体が最近実施した公共施設の入札は「不調」に終わった。参加を断念した地元の建設業者は「資材や人件費の上昇はバブル期並み」と表情を曇らせる。工期中にも高騰が続けば、赤字を出すのは避けられない状況という。
建設業界はこれまで、公共事業の削減や景気低迷への対応でリストラを加速させてきた。国土交通省の調べでは、11年度末の建設業者数は約48万と、ピーク時の1999年度末から20%減ったほか、高齢化も進んでいる。このため、老朽化した橋やトンネルの補修・点検など、急増した公共工事に対応する余裕がない。