【石平のChina Watch】
中国の国家発展改革委員会は6日、家庭用品メーカーのユニリーバ(英蘭系)が「日用品の値上げは避けられない」と言いふらし、値上げ観測をあおったとして、同社に200万元(約2500万円)の罰金を科した。それに先立ち中国国内の原材料価格高騰の影響を受け、同社は洗剤、せっけんなどの主要製品を5~15%値上げする方針をいったん固めたが、当局からの「行政指導」を受けて断念した経緯がある。
中国国内の原材料価格の高騰は明らかな事実だから、生産メーカーとして製品の値上げを考えるのはむしろ当たり前のことだし、企業たるものの当然の権利でもある。しかし中国ではそれは許されない。政府は今、インフレの抑制を急務としているから、この方針に沿って露骨な行政干渉が横行しているのである。
実はこの数カ月間、人件費や物価が高騰して生産コストが上昇している中で、多くの内外企業がユニリーバと同様、値上げを予定していたが、当局によってことごとく封じ込められた。今の中国で、どこかの企業が値上げを言い出した途端、経営トップが直ちに官庁に呼び出されて「行政指導」を受けるのが日常的な光景となっている。この国の「市場経済」とは名ばかりのゴマカシなのである。