2014.3.9 12:02
水を抜いた猿沢池で見つかった大量のカメ(左)とごみのラジカセ=2月19日、奈良市【拡大】
世界遺産の興福寺に隣接する名勝・猿沢池(奈良市)で外来種のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)が増殖していることを受け、奈良県が平成8年以来、18年ぶりに水を抜いて池の調査を行ったところ、池に生息するカメの大半がミドリガメで、在来種のクサガメなどが激減していることが分かった。ミドリガメはペットなどで飼っていたものが捨てられたとみられ、生態系を乱すとして駆除された。調査では、観光客が捨てたとみられる大量のごみも見つかり、古都・奈良を代表する名勝で安易なポイ捨てが横行していた実態が浮かび上がった。(橋本昌宗)
カメの国際見本市
「またミドリガメだ…。イシガメが全然いない」
2月19日、猿沢池でカメなどを捕獲した作業員はため息を漏らした。予想した以上にミドリガメが多く、期待したクサガメ、イシガメが少なかったためだ。
大規模な捕獲となったこの日を含め、作業期間の18~23日に見つかったカメは全部で258匹。このうちミドリガメは198匹と群を抜いて多く、クサガメは54匹、イシガメはわずか1匹だった。
前回の水抜き調査ではミドリガメ78匹に対し、クサガメが358匹、イシガメが59匹と在来種が優勢だったが、この18年間にミドリガメが急増していることを裏付けた。