イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」とみられるグループが人質にした後藤健二さん(47)と湯川遥菜(はるな)さん(42)を殺害するとして身代金2億ドル(約235億円)を日本政府に要求した事件で、犯行グループが72時間とした身代金支払いの「期限」が迫ってきた。政府は第三国の情報や斡旋(あっせん)を受け、シリア地域の部族やイスラム教指導者ら影響力を持つ人物を仲介者とする交渉を模索。しかし、難航しているとみられ、緊張感が高まっている。一方、米国は身代金による解決を図らないよう日本政府に求めているが、こうした姿勢には米国内で異論も出始めている。
関係団体通じ支払いも
政府は、身代金支払いの期限を23日午後2時50分頃と判断し、2人の早期解放に向けて全力をあげている。
日本の対応に世界の注目が集まる中、米国防総省のスティーブ・ウォーレン報道部長は記者会見で「同盟国の日本を支援するために、できることは何でも行うつもりだ」と強調。しかし一方で、共同通信によると、米国務省当局者は21日、「身代金の支払いはテロ組織の助長につながる。日本はこの長年にわたる米国の方針を承知しており、人質を取った者に見返りを与えてはならない」と日本政府にくぎを刺した。