エボラ出血熱が猛威を振う西アフリカのシエラレオネで、シェイク・ウマル・カーン医師(39)が7月29日、感染によって死亡した。国際医療支援団体「国境なき医師団」(MSF)が明らかにした。カーン医師はエボラ対策の陣頭に立ち、これまでに100人以上の患者を治療。シエラレオネで「国民的英雄」とたたえられていた。リベリアでも医療当局の医師が死亡したほか、ギニアでは米国人医師が感染。世界保健機関(WHO)によると、この3カ国の死者は672人に達したが、医療関係者の感染は約100人に上りうち半数が命を落とした。医師らは感染リスクに身をさらしながら懸命の治療を続けている。
「エボラ出血熱のわが国唯一の専門家である彼の死は、取り返しの付かない損失である」
シエラレオネ保健当局の責任者ブリマ・カーボ医師は声明でカーン医師の死を悼んだ。
完全防護で治療も
ロイター通信などによると、カーン医師は東部のケネマにあるエボラ治療センターのトップとして、患者の治療や隔離を指揮していた。