保守派への配慮?
だが、この発言について、米ロードアイランド州の司教が「人工妊娠中絶の悪について言及していない」と不満をもらすなど、保守系のカトリック信者から非難が相次いだ。今回の方針転換は、こうした保守派への配慮とみられている。
今回の法王の発言について、ローマでは「教会の教えなので、特段驚かない」(40歳女性)、「人の命を守り、教会の信念を広める法王の役割」(55歳男性)と静観しているが、米で非難が高まるのは必至だ。
米CNNテレビが昨年(2013年)12月24日に発表した米調査会社ORCインターナショナルとの共同世論調査(2013年12月実施)の結果によると、昨年(2013年)9月の発言を受け、85%が法王は「極端なリベラルでも極端な保守でもない」と答え、86%が「現代社会に沿っている」と評価するなど、法王に対する米国人の好感度では過去最高を記録した。
一方、2003年の調査では「中絶が増加する現代社会では、死の文化が席巻している」と発言した当時のヨハネ・パウロ2世について、約50%が「時代遅れ」と答えていた。バチカンはまた「時代遅れ」の教えに逆戻りするのだろうか…。(SANKEI EXPRESS)