2015.5.23 17:12
ここ数年、ブームとなっているジビエは狩猟で得られたシカやイノシシ、ウサギ、キジなど野生鳥獣の肉。冬に向けて脂肪を蓄え、狩猟の解禁も重なる秋がシーズンとされるが、最近は「夏ジビエ」が話題になっている。農作物に被害を与える有害鳥獣として、通年捕獲されるシカなどの活用を図る自治体が増えているためだ。関係者は「夏ジカはおいしい」と口をそろえる。(寺田理恵)
地域の特産に
野生鳥獣による農作物被害は深刻だ。農林水産省によると、被害額は年間200億円前後。中でも多いシカ、イノシシは狩猟が解禁される秋から冬にかぎらず有害鳥獣対策として計画的に捕獲されている。しかし、捕獲後はほとんどが処分され、食肉として利用されるのはごく一部だった。
食肉利用が増え始めたのは、市町村を中心とした被害対策を支援する鳥獣被害防止特措法の平成20年2月の施行がきっかけだ。食肉処理加工施設の整備も国による財政支援の対象となり、地域の特産にしようと、施設整備が全国的に広がった。農水省によると、施設数は同年12月の42カ所から昨年6月の146カ所に増加。こうした中、餌の豊富な夏においしいシカを「夏ジビエ」としてアピールする動きも出てきた。