サルモネラ菌による食中毒は菌が100万個以上ないと発症しないとされる。このため、販売されたときに卵の中に菌がいても、冷蔵庫などでしっかり保存された賞味期限内の卵では、通常は生食しても食中毒を起こすことはほとんどないといわれる。一方で、購入後、卵を冷蔵庫に入れなかったり、割おきした卵液を常温に放置したりすれば、菌が急増し、食中毒を起こす可能性がある。
今回の食中毒は生卵とオクラ、納豆を混ぜており、普通の「卵かけご飯」に比べればオクラを切るなど調理に時間がかかったとみられ、調理中や調理後にサルモネラ菌が増えた可能性もある。遺族側の弁護士によると、この点は裁判で争点になっておらず、家庭での卵の保管状況や調理後に常温で放置されたかどうかは不明という。
幼児の死亡も
卵が関係する食中毒に詳しい食品衛生コンサルタントの西村雅宏さんは「大手スーパーなど管理がしっかりしている店で売られている卵なら、家庭で冷蔵庫に保存し食べる直前に冷蔵庫から卵を出せば、生食しても基本的には問題ないだろう。しかし、生卵で食中毒となるリスクはゼロではない。高齢者や幼児など抵抗力の弱い人は生食は避けた方がいい」と指摘する。生卵が原因と特定されていないが、同年11月にも沖縄で8歳男児が生卵を食べた後にサルモネラ菌の食中毒で死亡している。