タレントの押切もえさん(37)や渡辺美優紀さん(23)ら少なくとも女性4人の携帯電話メールやSNS(会員制交流サイト)などに不正にアクセスして個人情報を得たとして、不正アクセス禁止法違反などの罪に問われた日経新聞元社員、寺井淳被告(29)=懲戒解雇=の初公判が2日、東京地裁(水上周裁判官)で開かれ、寺井被告は起訴内容を認めた。論告で検察側は懲役2年6月を求刑。弁護側は執行猶予判決を求めて結審した。判決は3月24日。
寺井被告はスーツ姿で出廷し、被告人質問で「私生活では知り合えないきれいな女性の個人情報を知りたいと思い、興味本位でアクセスした」「パスワードは類推し、ゲーム感覚で突破していた。いわゆるハッキングはしていない」などと述べた。また「身体的・金銭的に相手を傷つける行為ではないので、犯行当時は軽く考えてしまっていた」などとも語った。
不正アクセス時に、発信元などを示すIPアドレスの隠蔽を行っていなかったことについては「まさか不正アクセスに気づいて(警察に相談するなどの)対応を取るまではしないだろうと安易に考えていた」とした。
検察官から「写真データなどが保管されるクラウドにもアクセスした。他人に見せられない写真を見たのではないか」と質問された際には、「写真データは見たが、そうした写真はなかった」などと語った。
証人として出廷した父親は「男子校出身で、大学でも工学部で、思春期に女性と接する機会が少なかったことで、こうしたことをしてしまったのかなと思う。被害者には大変申し訳ない」などと話した。
検察側は「被害に遭った女性はみな個人情報を知られたことや情報流出を怖いと思っている。責任は重大だ」として懲役2年6月を求刑した。
弁護側は「会社を解雇されるなど社会的制裁を受けたほか、立件されていない余罪も素直に話している」などとし、執行猶予判決を求めた。
起訴状などによると、寺井被告は平成26~28年、押切さんや渡辺さんら女性4人の個人情報に不正アクセスしたとされる。このほかにも多数の女性の個人情報にも不正アクセスしていたという。