工場や発電所から出る二酸化炭素(CO2)を地中深くに埋める「二酸化炭素回収・貯留(CCS)」と呼ばれる技術の実用化に向け、政府が適地を探す調査に乗り出すことが20日、分かった。今秋にも日本近海の3カ所程度で海底下の構造を把握する調査に着手する。政府は、北海道でCCSの大規模な実証事業も並行して進めており、地球温暖化対策の中核技術として2020年ごろの実用化を目指す。
適地調査は、経済産業省と環境省の合同事業で、電力やガス、石油、エンジニアリングなど35社が出資する日本CCS調査(東京都千代田区)に委託する。既存の地質データの分析や、船から振動を発して海底下の構造を把握する「弾性波探査」などにより、17年度ごろまでに日本近海の10カ所程度で地質構造を把握する計画だ。
そこで得たデータを基に3カ所程度の有望地を絞り込み、実際に海底下の地層を詳しく調べる掘削調査も行う。国内には約1460億トンのCO2を貯留できる余地があるという試算もあり、政府は適地の正確な把握を急ぐ。