2時間半を超えた会見で、丁寧に質問に答え続けた小保方晴子氏が唯一、答えを濁したのが所属する理化学研究所に対する思いだった。小保方氏は今後も理研で研究を続けたいとの意向を持っており、STAP細胞の論文の共著者ら上司や同僚も多い。不正認定をめぐり理研と板挟みにある小保方氏の苦しい心境がにじんだ。
「本当にいろいろな先生方に助けていただいたが、私の力不足でした」「私も理研の職員ですので」
9日午後に行われた会見では、若手研究者への指導体制に問題はなかったのかなど、理研の体質を問う質問が繰り返された。小保方氏はその度に自身の落ち度を強調。理研の改善点を問われても「とても難しい質問です」と次の言葉が出ず、会場は沈黙した。
8日に提出した不服申立書で「トカゲのしっぽ切り」と、激しい言葉で理研調査委員会の報告書を批判したが、理研に裏切られたという気持ちはあるかという質問には「そのような気持ちは持つべきではない」と慎重に答えた。今後もSTAP研究を進めたいという小保方氏の言葉からは、理研への強い配慮がうかがえた。