経済産業省は29日、通常国会に提出する電気事業法改正案の概要を自民党の経産部会と資源・エネルギー戦略調査会の合同会議に提示した。3段階で進める電力システム改革の第2弾で、平成28年をめどに家庭が電力会社を自由に選べるようにする電力の小売り全面自由化が柱で、新規参入を促してサービスの多様化や料金引き下げを促す。
改正案では、電力会社を発電事業者と送配電事業者、小売り事業者に区分する制度を作る。電力大手が地域独占する規制がなくなり、消費者は他地域の電力会社や、新規参入の電力会社などを自由に選ぶことが可能になる。経産省は、自由化で電力大手が独占する7兆5000億円規模の市場が開放されると見込む。
ただ、当面は電気料金の規制を継続するなど、消費者保護のため経過措置をとる。自由化直後、競争が不十分な段階で電力大手が値上げに走るような事態を防ぐ。
また、電力大手の社債(電力債)に認められている一般企業よりも有利な発行条件を、自由化後も継続する措置を講じる。電力会社は、電力債の償還を他の債務の支払いに優先して行うことが電事法で定められているが、自由化を控えて競争条件の観点から見直し議論が浮上していた。
昨秋の臨時国会では、電力改革の第1弾となる改正電気事業法が成立。全国規模の電力需給調整を担う「広域系統運用機関」の27年めどの設立が柱で、付則に電力小売りの全面自由化と、30~32年をめどに電力大手の発電と送配電部門を別会社にする発送電分離の実施を明記している。